『それいいな!』の山道具

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    テントのうんちく

    今回は『テント』についてのうんちくです。

    テントの購入は非常に高価な買い物になるので、品定めは慎重にならざるを得ません。
    よって、このうんちくがみなさんの『テント選び』のお助けになればいいなと。

    何かにつけ『ゴアゴア!』と言うゴア信者の友人と、以前テントのことで言い合いになったことがあります。これはとてもいい参考になるのでここでご紹介をと。

    私が『Hilleberg Soulo - ヒルバーグ・ソウロ 』を買った時に、彼がボソッと一言。

    ゴアじゃないんだ』

    じゃーダメだ的な。
    カチーン。

    彼のスタイルは、とある有名な国産ゴアテントにフライシートを掛けると言うシステム。まーこのシステムは、そこかしこのテン場でお目にかかりますな。

    ヒルバーグ社製品のような元々ダブルウォール構造のテントは、それぞれの生地にそれぞれの役目を負わせているわけです。フライシートは風雨をシャットアウトする役目。インナーは通気性、透湿性のいい生地で快適性を生む役目で『防水』はフライにおまかせしているのです。
    ゴアのテントにフライを掛けてダブルウォール構造にする、言いかえるとゴアをインナーとして使用するのなら、インナー用に作られたテントの方が格段に利があります。
    通気性があるし透湿性も上。おまけにかなり軽量です。

    シングルウォールのテントはゴアテックスに代表される防水透湿生地でできたもので、ご存知の通り2つの相反する機能を持たせたものです。言わば2枚必要なところを1枚で済ませて軽量化しようと言うことです。ゴアのテントはシングルで使ってこそ意味があるのです。と、言う訳で、ゴアのテントをシングルで張ってる人には何も文句は言いません。きちんとした知識を持って特性を理解しているからです。

    厳冬期はダブル構造が圧倒的に有利です。インナーとフライの間に空気の層があるので、ワンクッションとなり暖かいのです。
    厳冬期にシングルウォールで寝たことある人はわかるでしょ?とってもと言うか、もう本当に真剣に寒いのです。それにいくらゴアのテントでもシングルだと、内外の温度差が大きいので見事に結露しますよ。以上の理由から、見渡せばほとんどの人がゴアのテントでもフライや外張りを掛けてダブルにしてるでしょ?
    話は最初に戻りますが、ダブルにするのなら最初からダブル構造の物の方が圧倒的に性能がよろしいのです。


    single.png
    透湿生地であっても内外の寒暖の差が大きくなるため結露します。
    この場合インナー内の結露になるので、シュラフなど色んな物が濡れます。


    シングルウォールがどうなるか?
    丁度よい動画を見つけたので貼っておきますね。


    single and fly
    透湿生地にフライや外張りを掛けると、空気の層でワンクッションができるので、インナー内は結露しにくくなります。
    ただ、防水透湿生地であるため、透湿性は中程度、通気性はほとんどありません。要は『防水』があるがゆえに透湿性、通気性が制限されています。


    double.png
    インナー専用の生地は『防水』を考えないでよいため、透湿性、通気性が大きい生地でできています。よって、インナー内は最も快適な状態です。
    3パターン全てに言えることですが、結露を防ぐことで最も重要なことは『生地の透湿性能』より『換気』です。生地からジワジワと湿気を逃がすより、換気口から『ドーッ』と出す方が圧倒的に量が多いからです。


    彼曰く

    『フライの内側に結露するじゃん』

    とのことです。
    もー。あたりまえだって。フライだから。
    あんたのゴアのテントもフライの内側はびっしり氷結してたでしょ?このアホが!と言いたいのですが、彼にはゴアのツェルトを高額で買い取っていただいた経緯もあるので、本人が満足しているのならまぁいいかなと言う所で。

    では私なりの結論をと。
    防水透湿生地はジャケットやシュラフカバーなど、換気のできない道具の場合はこの上なく優れています。よってこれらを買う場合は迷わず『GORETEX』や『eVent』等を選びます。
    しかしテントはダブルウォールの方が格段に快適です。厳冬期や大雨の時は顕著にその差が現れます。
    まー。好天が約束されている場合や、難しいルート等でどうしても軽量化が必要な場合は、シングルウォールやツェルトでもいいと思います。
    つーか。
    そのレベルの方たちはしっかり理解して使い分けてると思います。私が口をはさむまでもないのです。

    自分の山行スタイルを熟慮したうえでのテント選びが大切ですね。

    ツェルト泊に関しては『ツェルト泊のうんちく』の記事をどうぞ。







    PAINE G-LIGHTテントシリーズ




    あのー。

    過大な期待を抱かせないように、一言付け加えておきますね。
    冬季においては

    テント=結露する』

    と言うことに間違いありません。
    ダブルウォール然りです。

    要は『度合い』の問題ですね。

    言葉足らずでした。
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    | 知っ得! | 21:18 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

    COMMENT

    こんにちは。
    テントのお話、なるほど、ですね。
    ちなみに、自分のテントはゴアではありませんし、シングルのテントは、荒天時の出入りが、フライなどがある場合と比べて、圧倒的に不利なので、あり得ないと思っています。
    だからゴアとテントかってもフライを張るのかな、と思っています。おっしゃるような理由があるとは、ゴアテントに興味がなかったので、気づきませんでしたけど。

    テントのようなものは、使ってみての判断が大切ですよね。
    若いころから、いろいろと改良点を感じてきましたが、高い買い物なので、次のを買うのは何年も後、なので、なかなか理想に近づけません。

    ちなみに、今のテントはこれです。
    http://cb250rsz.blog104.fc2.com/blog-entry-1087.html

    またよろしくお願いします。

    | devilman | 2012/05/12 08:58 | URL |

    コメントありがとうございます。

    devilmanさんへ

    お持ちのテントはダンロップのソロでしょうか?
    軽量で扱いやすい定番ですね。

    それとdevilmanさんのブログのお写真、どれも季節感のある雰囲気のいいお写真で素敵ですね。

    今後ともよろしくお願いします。

    | 目目連 | 2012/05/12 23:06 | URL | >> EDIT

    厳冬期にダブルのテントでレインフライを使うのは危険ですよ。
    何故動画の彼がシングルを使っているのか分かりますか?
    厳冬期にダブルのテントでレインフライを使うとインナーテントとレインフライの隙間に雪が積もり換気が利かなくなり酸欠になります。
    動画のようにシングルテントだと吹流し窓があり、ある程度の高さまで雪が積もっても酸欠にはならないのです。

    ですので厳冬期で絶対に雨が降らない気温であれば、降雪対策でダブルのテントはレインフライを使わずにインナーだけで使うかスノーフライを使います。スノーフライは防水性はありませんが通気性はあります。

    その上、極低温状況ではテントの設置・撤収は時間をかけたくないものなのです。特に強風時。
    だからシングルは厳冬期に良く使われるのです。

    また稜線などでテントを張る場合、風が強い日の降雨時にはダブルのテントは浸水します。
    理由は2つ有り、インナーテントとレインフライの隙間から横殴りの雨が入ってくるからです。風が強いとテントもしなるので、レインフライがあっても意外と横殴りの雨がしたの隙間から直接インナーテントに当たるようになります。
    さらにレインフライが強風によってインナーフライにくっつくようになります。ぬれたレインフライがインナーテントにくっつくとそこから浸水します。ダブルテントはインナーとレインフライの間に隙間が無いと意味が無いのです。

    シングルテントでレインフライ又はハーフフライを使うメリットは確かにあります。重量は重くなりますが・・・
    シングルは降雨時の出入りが大変なのです。特に横殴りの雨の場合、雨が入口から内部に侵入します。
    それを防ぐのがレインフライorハーフフライです。

    また、風の強い日の降雨時のシングルの場合、これらのフライが風によってインナーテントにくっついても浸水しません。インナー自体が防水だから。それでいて出入り時の雨の侵入もフライ無しの時より防げます。

    そしてシングルでフライを使うと結露はむしろ防げるのです(暴風雨の時は除く)。
    理由は出入り口での雨の侵入が防げるので、出入り口を少し開けてメッシュにし換気窓にできるからです。
    換気ができれば結露は減るのは道理で、寒くなければ出入り口をもっと開けられるようになります。

    ダブルテントは大雨時には設置している最中にインナー自体が濡れてしまうので、とにかくインナーを立ち上げた後、すぐにレインフライを設置しないとテント内部がずぶ濡れになります。特に強風雨時は悲惨なことに。
    以上の事から荒天時こそシングル(+フライ)なのです。

    | 通りすがり | 2013/09/19 03:30 | URL | >> EDIT

    Re: タイトルなし

    通りすがりさま

    ようこそおいでくださいました。
    そして、非常に詳細で説得力のあるコメントありがとうございます。

    レインフライとスノーフライの区別も書くべきでしたね。舌っ足らずでした。
    それと、レポ内で述べてるように、厳冬期にシングルをシングルで使ってる方の知識レベルの高さは存じあげてるつもりです。

    ご指摘の内容は一応頭にありますので、自分用にはフライが接地している『ヒルバーグ・ソウロ』を選択しています。ただ換気口が一つなので、対角側に穴を掘ったりして少し換気を確保しているのですが、雪が降ると役に立ちません。酸欠にならない程度はとりあえず確保できますが。
    『ソウロ』は風雪には猛烈に強く、設営もインナーとフライが同時に立ちあがるので、シングル並みに早くて気に入ってます。北欧産ですので、日本の豪雪とはかみ合わない部分もありますが。

    また突っ込みを入れてください。
    あなたの博識が少しでも広まることで、多くの方々がより深い知識を得ることができ、山で困ったり事故につながる人が一人でも防げると思います。

    今後ともよろしくお願いします。

    | 目目連 | 2013/09/19 09:15 | URL | >> EDIT

    ナイス

    非常に中身のある内容ですね。コメントもふくめて。最終的には個人の好み、季節、場所によりますが、多くのクライマーの役立つと思います!

    | ミーハー | 2013/12/08 17:06 | URL |

    Re: ナイス

    ミーハーさま

    コメントありがとうございます。
    本当に最終的には個人の好みですよね。

    私は『ヒルバーグ・ソウロ』をメインにしていますが、何せ図体が大きいのでソロテントは狭いです。
    お金に余裕があれば山行タイプで、ソロ、2人用、シングルウォールと色々使い分けたいです。
    これは万能!と言うのはありませんからね。

    また、突っ込みを入れてくださいね。
    今後ともよろしくお願いします。

    | 目目連 | 2013/12/08 20:11 | URL | >> EDIT

    初めましてm(_ _)m

    こんばんわ!

    テントで飛んで来たのですが、凄く内容の濃いGearに関する薀蓄を書かれてるのでコメントさせてもらいました。

    僕もGear好きなんで、まだ、全部は読んでませんが、主さんのレポはこのレポ以外でも非常に突っ込んで掘り下げたポイントもわかりやすく表現されてるので『うん!うん!』と頷きながら楽しく読ませてもらいました。

    コメントにもあるようにGearに関してはあくまで基本みたいなものは存在しますが正解はなく状況に応じて!
    しか実際フィールドでは無理なような気がするので、結果的には【好み】が優先されると思います。

    本内容でも、シングルにスノーフライをかけた方が快適な場合と、またその逆もありますもんね!

    僕も厳冬期はエスパースマキシムを内張仕様で使ってますが、気温やその時の調理の内容、その他の条件等でほとんど結露しない時もあれば、べちゃべちゃになる事もありますから、絶対厳冬期はこれ!
    なんて無くて、適度なのはこの感じ!
    が精一杯だと思います!

    ヒルバーグも昔はアクト、今はアラックを所有してて、エスパース等とその山の事前情報から適当と思える物を選んだりしてます。

    うちの場合は、一昨年から嫁さんも一緒に行くようになったので2〜3人用のマキシムでは少し狭いので、4〜5人用の新素材のマキシムXを追加導入しましたが、新素材のGoreといえども状況によってはべちゃべちゃに結露するのは予想範疇なので、別の対策を考えて使用する予定です。

    始めてのコメントで長文になってすみません。

    主さんのblog、僕は凄く楽しみながら読ませてもらえるので、これからもちょこちょこ覗かせてもらいます(*^_^*)

    今後とも宜しくお願いします。

    | bp-hiro | 2014/01/23 19:45 | URL |

    Re: 初めましてm(_ _)m

    bp-hiroさん

    はじめまして。
    ようこそおいでくださいました。

    > 僕も厳冬期はエスパースマキシムを内張仕様で使ってますが、気温やその時の調理の内容、その他の条件等でほとんど結露しない時もあれば、べちゃべちゃになる事もありますから、絶対厳冬期はこれ!
    > なんて無くて、適度なのはこの感じ!
    > が精一杯だと思います!

    まったくそのとおりですね。
    私はヒルバーグソウロで換気口が一つなので、冬場は換気口の真下で調理したり、室内を暖め過ぎないようにしたりと工夫してます。

    アラックをお持ちですか。超・快適でしょ?
    ベース用としてはベストチョイスですね。

    また色々とコメントください。
    こちらこそよろしくお願いします。

    | 目目連 | 2014/01/23 20:51 | URL | >> EDIT















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