『それいいな!』の山道具

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    ツエルトザックを見直せ

    1989年10月に起きた立山~真砂岳での大量遭難事故のお話です。
    遭難の原因、死亡の理由『そのものズバリ』が書かれています。

    当時学生だった私はニュースで見て衝撃を受けた記憶があります。
    誠に勝手ながら全文を引用せさせていただきました。

    肝に銘じておくべきことなので、まずは記事を熟読してくださいませ。



    ツエルトザックを見直せ

    十月連休の北ア立山での集団遭難はショッキングなニュースとして列島を駆けめぐつた。

    八日の午前九時ごろから雪が降りはじめ、昼ごろから吹雪になったという。
    で、一夜あけた九日の朝は快晴。
    そのときすでにもう、冷凍のマグロを転がしたようにみんな骸(むくろ)と化していたというからむごい。
    言葉もないくらいのものだ。

     いろいろ言われた。あれこれの批判や指摘があって、いずれもそれなりに的の近くを矢が飛び交ったのだが、ぼくをして言わしむれば、”死因=ツェルトザック”ということになる。
    これに尽きると思う。

     いささかもどかしいのだが、順序だてて説明しよう。
    小型・軽量の簡易テントを日本ではツェルトザック、または略してツェルトと呼んでいる。テントからポール、グラウンドシートなど一切の付属を除いた、本体布地だけ、といったようなもので、山へ行く者は不時に備えてこれをザツクの底にしのばせるのがジョーシキになっていた。そして、目的の山小屋などに到着できず、途中で行き暮れたりしたようなときに、これをひっかぶって一夜を過ごした。
    ああ、まさしく今回の事故はそうした状況にあって、そして肝心のそのツエルトを欠いたのだ---。

     それさえあれば死なずにすんだ。一人残らず生きてかえれた。そしてそれが無くてみんな死んだ。何という無残な明快さだ。

     引き返す勇気がどうの、冬山の装備がどうのと、いろいろ言われた。
    だが引き返す勇気があろうとあるまいと、ツェルトだけは要ったのだ。
    だって引き返す勇気があって、引き返しても、その途中でへたばって行き暮れる、ということもあるだろう。

     八人中五人までが布製のブーツなどという指摘もあったが、ブーツが布製だろうと皮製だろうと、ツェルトだけは要った。高齢者が多いということについてもことさら鋭い指摘がなされたが、高齢者であろうとヤングであろうと赤児であろうと、とにもかくにもツェルトザックは必要だった。

     吹雪の3000メートルの稜線でそのまま一夜を過ごすなんて、そりやもう地獄というものだ。だがツェルト一枚がその外界を天国の内界に変えてくれるのだ。
     そんな重要なことをなんでもっと早くに言ってくれなかったのだ、ということになりそうだが ---。
    そこだよな、モンダイは---。
     ツェルトは必ずしも全員に必要ではなく、何人かで一つあればよい。
    つまり共同装備に属する。横になって寝れば三人ほど、座ってひっかぶっているだけなら五、六人は入れる。山岳会などパーティ意識が比較的強い場合は、共同装備はどうするということがはっきりと議論される。だが、ただの寄り合い世帯というような場合は、どうもこの辺があやふやになってしまう。また、山岳会なら、共同装備に類するものはちゃんと買いととのえられているが、個人の場合はツェルトなどまずないのだ。

     山岳会というものがすたれ、個人で山へ出かけるように時代は変わってきた。
    で、ツェルトはというと、山岳会と一緒に過去におき忘れられているのではないか。
    「ツェルトを見直せ」と、とり急ぎ叫ばなければならない。ツェルトは今や必携の個人装備である。
    幸い素材の進歩で、小型・軽量のツェルトがいっそう小型で軽量になった。
    たとえば手元のモンベル(ブランド名)のウルトラライト(商品名)は450グラム。容積・重さもカンビール一本というところである。

     これのあるなしが生死を分かつ。
    だいたいが、ツェルトも持たずに山へ行って生きて帰ろうなんて厚かましい。
    この際個人で全員買おう。

     ぼくは立山で死んだ八人のしかばねの上に立って訴える。

    (初出:1989年「岳人」p.144-146)




    今年(2012)のGWに北アルプス各所で起きた遭難も、この記事を事前に読んでいれば・・・と残念でなりません。

    私はどんな『低山』に行く時でも、ツェルト(今はEm-Shelter)を欠かしたことはありません。たとえ近所の『里山』でも、私たち人間を葬り去ることなど造作もないことです。このことを忘れたことは一度もありません。
    私が感じることは『ベテランほど備えている』と言うことです。『自分には関係ない』と思っている初心者が多いように思います。
    この事故は、まさにこれからの季節と重なるので、みなさんもう一度ご自分と照らし合わせてみてはいかがでしょうか?

    最近の傾向として『ツェルト離れ』言い換えれば、非常用シェルターを持っていない人が多いと思う。
    何故だと思います?
    ツェルトの使い方は、
    1.山岳会(山岳部)で教わる
    2.講習を受ける
    と言う感じになっていて、無関係な方は接する機会がありません。
    それに、教わらないと使えない、しかも1回教わったくらいでは身に付かない、初心者には難しいアイテムなのです。
    これこそが『ツェルト離れ』に拍車をかけていると思います。
    その結果、購入は後回しにされてしまうのです。

    当時は非常用シェルターとしてはツェルトのみだったけれど、今は『Em-Shelter』があり、初心者でも迷いようがないシンプル構造なので、いざと言う時は心強いです。

    初心者で経験の無い方には『へぇ~』的な感じで想像に難があるかとは思いますが、記事の中にもある通りシェルターの内と外では『天国と地獄』の差があります。今年冬山に行く予定があれば、一度試して見て『天国と地獄』の違いを実感しておくと、今後の行動に違いが出てくると思います。
    今からの季節は雨がいきなり雪に変わったりしますからね。

     ♪・・・雨は夜更けすぎに、雪へと変わるだろう・・・♪
        ~ クリスマス・イブ(山下達郎) ~

    な~んて優雅な情景ではありませんからね。実際は。
    『1m先』どころか『自分の足』さえも見えませんからね。冗談抜きで。

    山ガールのみなさんが非常用にお持ちの『銀色のエマージェンシー・シート』では『決定的に力不足』です。ぜひ、以下の『専用』非常用シェルターで備えてくださいね。

    ベテランほど『命にお金』をかけていますが、
    本当は危機に対して無力な『初心者』ほどそうするべきだと思っています。

    あなたはいかがでしょうか?
    ひと呼吸して真剣に考えてみてくださいね。


    ツエルトをこれから買おうと言う方は、
    こちらの『ツエルトのおすすめ人気ランキング10選』をご参考ください。

    秋山登山の計画のある方は、山に入る前にこちらのレポをお読みください。
    秋山登山に向けて~くれぐれも




    これから買おうと言う人はコチラ。圧倒的に簡単。


    ウデに自信のある人はコチラをどうぞ。



    こう言う物があります。

    山岳遭難ピンチカード

    無料配布なので、初心者、山ガールのみなさん、ぜひ入手しておきましょう!
    非常用シェルター同様、きっと役に立つはずです。
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    COMMENT

    山での事故防止について・・・

    目目連さま

    大変ユニークな名前でびっくりしました。なんと読むのだろう?と思いましたが・・・
    当サイトへお伺いして理解できました。

    山の事故については
    自分も登山するので・・・関連のニュースや報道を見るたびに悲しくなります。
    「山は何が有るかわからない。」私もそのことを肝に銘じ、自分を守るための最低限の装備はいつも携帯していますが
    改めて、ここで拝見した記事はとても参考になりました。
    その他いろいろ登山に役立つ記事が多く、この後ゆっくり拝見したいと思います。

    ありがとうございました。

    | 「のべ山R会」のK | 2012/10/03 19:51 | URL | >> EDIT

    Re: 山での事故防止について・・・

    コメントありがとうございます。

    最近本当にテレビや雑誌、HPやブログ等で『華やかな』部分のみ強調されて、それに乗っかって登山をしている方が非常に増えて来ました。本当はメディアなど『発信力のある』ところに声を上げてもらいたいのですが、華やかな方が注目してもらえるので、結局は一番大事なところが置き去りにされていると思います。

    ぜひ延岡から声を上げて行ってください。
    山ガール達には女性の言葉の方が良く浸透すると思いますので。

    よろしくお願いします。

    | 目目連 | 2012/10/03 20:14 | URL | >> EDIT

    ツエルトザックは

    お守り代わりに持っていってます♪
    使ったことはありませんが^^;
    (臆病なので雨の予報がついてたら、「行かない」とか縦走だったら小屋で停滞する日を作って行く。小屋には15時までに必ず入る。(たまに計画通り行かないときもありますが・・・)という計画をしているので、今のところ使わないで済んでます。)

    改めまして。
    はじめまして~はるごんと申します。
    自分のブログにコメントくださってありがとうございます^^

    道具もそうですけど、天候、地図、体力、山の知識などなどトータル的にレベルアップしていくのが理想ですよね^^

    自分は6才の頃から親父に山連れて行ってもらって、そこから基本的な事を教わりました。ま~おっちゃんおばちゃんばっかりだったので、最近自分と同年代の人(ってゆーか特に女の子(笑))が山に増えてうれしい限りでございます(笑)

    そして、初心者を連れて山に行くこともあるのですが、自分も「華やかな部分」しか言ってない気がします^^;(自分のブログもそうですし)
    ある程度山が好きになってくれたら、そういう装備も必要だよ~とは言いますが^^;

    登山初心者って(特に若い人連中)ツエルトまでお金かけられないってのが正直なところなんでしょうね・・・登山靴買って、ザック買って、レインスーツ買って。そこでいっぱいいっぱい。でも着る服はオシャレに目立ちたい!!(笑)
    自分、「こんな高いレインスーツ買わないといけないんだ~e-330」と言われた事もありますし・・・

    ですので、目目連さんのブログは非常に参考になります^^

    追伸。

    涸沢の記事楽しみにしています^^

    それと自分は週末、栂池&雨飾山行ってまいります。
    帰ってきたら来週中に書き上げたいと思っていますので、ぜひ再訪ください^^

    | はるごん | 2012/10/11 19:55 | URL | >> EDIT

    Re: ツエルトザックは

    コメントありがとうございます。

    > (臆病なので雨の予報がついてたら、「行かない」とか縦走だったら小屋で停滞する日を作って行く。小屋には15時までに必ず入る。(たまに計画通り行かないときもありますが・・・)という計画をしているので、今のところ使わないで済んでます。)

    まさにそれが基本だと思います。私もそうしています。
    最近は『日没』が行動終了だと思っている方が大半ですよね。
    私的には『日没=おやすみ』なんですけど。

    シェルター(ツェルト)までお金をまわせない・・・これも全く同感です。
    危機意識に関しては『自分には関係ない』と思っているらしく、良くて『銀色のシート』を持ってるくらいで、持ってない人がほとんどです。
    んー。
    おしゃれと命とどっちが大切なのでしょうね。
    この辺は『ラ○ドネ』などの中心的な所が『目を醒ます』まで無理でしょうね。自分たちの責任の重さをもっと自覚すべきだと思います。

    このことは、お互い『微力』ながらもっと発信していきましょう!
    よろしくお願いします。

    | 目目連 | 2012/10/12 11:15 | URL | >> EDIT

    重要性

    ツェルトってそんなに大切だったんですね。
    簡易テントくらいにしか思ってなかったので
    ここまで重要性があって防寒にすぐれているとは
    感じませんでした。

    | ikajyu | 2012/10/28 11:18 | URL | >> EDIT

    Re: 重要性

    ikajyuさん

    コメントありがとうございます。
    この記事は昔的に言うとツエルトですが、今風に言うと『非常用シェルター』全体を指していると思います。
    山に限らず、自然の中で行動する場合は備えが必要ですよね。
    こう言う遭難が無くなればいいと思っています。

    | 目目連 | 2012/10/28 13:49 | URL | >> EDIT

    はじめまして

    ツエルトが大事な装備とは分かっているつもりでは
    いたのですが… 購入までには至っていないです。

    山の道具って魅力的なモノが多くて困りますね(笑

    まだ冬山は行った事が無いのですが、今シーズンから少し
    始めようかなぁ~と考えているので装備を見直してみます。

    | おしゃんぽ | 2012/11/29 23:56 | URL |

    Re: はじめまして

    おしゃんぽ様


    コメントありがとうございます。

    > ツエルトが大事な装備とは分かっているつもりでは
    > いたのですが… 購入までには至っていないです。

    んー。
    まずいっす。
    命にかかわる装備なので『いの一番』に購入すべきです。
    『サクッと逃げ込める』シェルターを選べばいいと思います。

    > まだ冬山は行った事が無いのですが、今シーズンから少し
    > 始めようかなぁ~と考えているので装備を見直してみます。

    素晴らしい!
    ぜひぜひおすすめします。
    山が一番美しいのは『冬』です。
    四季を通じて山は大好きなのですが、中でも『冬山』が一番好きです。

    赤岳鉱泉~硫黄岳のような
    通年小屋が近くにあり、人が多いコースからはじめるといいと思います。

    冬山に限らずシェルターは『必携』なので早めのご準備を
    極論、明日出かける『近所の裏山』で命を落とすこともありますので。

    | 目目連 | 2012/11/30 09:19 | URL | >> EDIT

    こんばんは♪

    先日はコメントありがとうございましたi-179

    ツェルトの事でコメント頂きましたので、この記事にコメントさせて頂きますね。
    ツェルトも持ってるだけじゃ意味ないですもんね。
    今一度、使い方など勉強し直そうと思いましたi-190

    ほんと、地元の山でも標高300m台の雪山で遭難して亡くなった方もおられます。
    低いからとか、地元だからとか、山に入る時はいつでも緊張しながら歩かないといけませんね。

    これからも、いろいろお勉強させて下さいねi-197
    また遊びに来ますi-179

    | 雪野 | 2012/12/02 21:02 | URL |

    Re: こんばんは♪

    雪野さん


    こんばんは。

    私はブログの中だけでなく、山歩きをしていてお会いする方にも『危機意識』について話します。
    やっぱり、みなさん『自分は関係ない』と言うか『想像してない』と言う表現がいいのか、全く無頓着なので憂えています。
    現実として、山中でこのことを悟るとしたら、それは自身の命と引き換えに悟らねばならないので、もっと真剣に考えるべきです。
    ぜひ、みなさんの意識が高まるようがんばっていきましょう。

    こちらこそよろしくお願いします。

    | 目目連 | 2012/12/02 22:04 | URL | >> EDIT

    試してみました

    目目連さん、こんばんわ

    『Em-Shelter』を試してみました。
    間違えなく、素早く非難できますね。
    かなり使えそうです。(*´∀`)ノ

    良き物を紹介して頂き、ありがとうございました。

    | オニオン/ | 2013/01/06 23:37 | URL |

    Re: 試してみました

    オニオン/さん

    ブログのレポ拝見しました。
    いいですねー。
    慣れると10秒くらいでスタンバイできますよ。このスピードは危ない時は有効ですね。
    でも、飯を食う時以外では使いたくありませんよね。つーか、非常事態は事前に回避する努力をしないといけませんね。

    > 良き物を紹介して頂き、ありがとうございました。

    そう言っていただけると、道具をうんちくってる甲斐があります。
    こちらこそありがとうございます。

    | 目目連 | 2013/01/07 23:07 | URL | >> EDIT















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